この記事を書いた専門家:佐藤 圭介
暮らしの法律アドバイザー / 元・大手トランクルーム事業者 開発責任者早稲田大学法学部卒業後、大手トランクルーム事業者に新卒入社。利用規約の策定プロジェクトを責任者として主導し、利用者の安全と事業者のリスク管理を両立させる仕組みを構築。現在は独立し、「暮らしの法律アドバイザー」として、個人の資産保管や契約トラブルに関するコンサルティングを行う。「法律は、暮らしを守るためのツール」を信条に、複雑なルールを誰にでも分かる言葉で解説する活動に力を入れている。
「子供が生まれて家が手狭に…。趣味のキャンプ用品や冬物の石油ストーブを預けたいのに、そもそも預けられるのか分からなくて、トランクルームの契約に踏み切れない…」
そんなあなたのための記事です。

ご安心ください。この記事を読めば、もうネット上の無数のリストに惑わされることはありません。
なぜなら、ここでは単なる禁止品リストではなく、どんなトランクルームを契約する際にも応用できる「判断基準そのもの」を、元事業者側の人間だった私がお伝えするからです。
読了後には、あなたのその荷物が預けられるか自信を持って判断できるようになり、安心して家の中を片付けられるようになりますよ。
なぜ、どのサイトを見てもスッキリ解決しないのか?多くの人が禁止物で迷う本当の理由
トランクルームの禁止物、複雑ですよね。私も事業者側で規約を作っていたので、その分かりにくさは痛感しています。
「結局、何を預けられないんですか?」というご質問を、アドバイザーとして独立した今でも本当によく頂きます。公式サイトのQ&Aを読んでも、自分の持っているものが当てはまるのか、いまいち確信が持てない方がほとんどです。
あなたが迷うのは当然です。実は、ほとんどのサイトが「法律で全国共通に決まっていること」と「トランクルーム会社ごとのルール」を一緒くたにして説明しているため、本質的な部分が非常に分かりにくくなっているのです。
なお、契約前に「比較の観点」からルール確認を進めたい方は、トランクルームの選び方(比較ポイントと注意点)も合わせて読むと、禁止物・規約確認を含めた判断が一段ラクになります。
しかし、この2つの違いさえ理解すれば、あなたの悩みは驚くほどスッキリ解決します。
【結論】トランクルームの禁止物は2種類だけ。法律の「絶対NG」と約款の「グレーゾーン」
これが、あなたが手に入れるべき「判断基準」の全てです。トランクルームに預けられないものは、突き詰めるとたった2種類しかありません。
- 法律(主に消防法)で定められた「危険物」 → これは【絶対NG】です。
- 各トランクルーム会社の利用規約(約款)で定められたもの → これは【グレーゾーン】であり、会社への確認が必要です。
まず、消防法は、火災や爆発の危険があるものを「危険物」として具体的に定義しています。 ガソリンや灯油、そしてあなたが気にされているカセットコンロのガスボンベなどがこれに該当します。これらは国の法律で保管方法が厳しく定められているため、いかなるトランクルームでも議論の余地なく「絶対NG」となります。
一方で、それ以外のルールは、事業者とあなたとの間の契約書である「利用規約(約款)」によって決まります。実は、多くの優良な事業者は、国土交通省が示している「標準トランクルームサービス約款」という雛形を参考に規約を作成しています。この約款は、先ほどの消防法で定められた危険物の禁止を、契約上のルールとしても取り込んでいるのです。
「約款のどこを見ればいい?」「公的な一次情報や相談先もまとめて把握したい」という方は、約款・安全・相談先をまとめた保存版ガイドも手元に置いておくと、確認漏れを防げます。
この「法律」と「約款」という2つの視点を持つことが、トラブルを避けるための何よりの武器になります。

ケーススタディ:鈴木さんの荷物、預けられる?「判断基準」で仕分けてみよう
では、先ほど手に入れた「判断基準」を使って、あなたの具体的なお悩みである「カセットボンベ」と「灯油を抜いたストーブ」を仕分けてみましょう。
まず、カセットコンロのガスボンベは、中身の有無にかかわらず消防法上の危険物(高圧ガス)に該当するため、議論の余地なく「絶対NG」です。 これはどのトランクルーム会社でも預けることはできません。

一方、「灯油を完全に抜いた石油ストーブ」は、非常に良い質問で、これこそが「グレーゾーン」の代表例です。 灯油そのものは危険物ですが、それを完全に抜き取って空にしたストーブ本体は、法律上の危険物には該当しません。そのため、保管を許可するかどうかは、個別の利用規約(約款)が条件を定めることになります。多くの事業者では保管を認めていますが、「電池も必ず抜いてください」といった追加の条件が付くことがほとんどです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「これくらいなら大丈夫だろう」という自己判断が、最も危険です。
なぜなら、私が事業者側で見てきたトラブルのほとんどが、この「少しだけなら」という油断から発生しているからです。特に多いのが、灯油を完全に抜き切らずにストーブを保管し、夏場の温度上昇で残った灯油が気化・漏洩して、他の利用者の高級家具にシミを作ってしまったというケース。この場合、あなたは重大な損害賠償責任を負うことになります。判断に迷うものは、必ず事業者に確認してください。
📊 あなたの荷物はどっち?禁止物仕分けチェックリスト
| あなたの荷物 | 絶対NG? or グレーゾーン? | 根拠 | あなたが取るべきアクション |
|---|---|---|---|
| カセットボンベ | 絶対NG | 消防法(高圧ガス) | 自宅で使い切るか、自治体のルールに従い廃棄する |
| 灯油を抜いたストーブ | グレーゾーン | 利用規約(約款) | 契約前に事業者に「保管可能か」を必ず問い合わせる |
| スプレー缶(ヘアケア等) | 絶対NG | 消防法(高圧ガス) | カセットボンベと同様、保管はできません |
| 現金・有価証券 | グレーゾーン | 利用規約(約款) | ほとんどの事業者が禁止。補償の対象外です |
| 食品・植物・生物 | グレーゾーン | 利用規約(約款) | 腐敗や害虫の原因となるため、ほぼ全ての事業者で禁止 |
契約前にこれだけは聞け!トラブルを100%防ぐための「魔法の3つの質問」
ここまで読んで、判断基準はかなり明確になったかと思います。最後に、あなたが安心して契約するための具体的なアクションプランとして、事業者に問い合わせる際に役立つ「3つの質問」を授けます。この質問をぶつけるだけで、誠実な事業者かどうかを見極めることもできますよ。

- 「御社の利用規約は、国土交通省の標準トランクルームサービス約款に準拠していますか?」
- 質問の意図: これに「はい」と答えられる事業者は、業界標準のルールに則った運営をしている可能性が高く、信頼性の一つの指標になります。
- 「灯油を完全に抜き、電池も外した状態の石油ファンヒーターは保管可能でしょうか?」
- 質問の意図: あなたの具体的な荷物について、明確な言質を取るための質問です。もし可能であれば、その条件(「完全に乾かしてあればOKです」など)も詳しく聞いておきましょう。
- 「万が一、私の過失で他の利用者の荷物に損害を与えてしまった場合、どのような保険が適用されますか?」
- 質問の意図: リスク管理について誠実に答えてくれるかを確認する質問です。多くの事業者では、利用者向けの賠償責任保険を用意しています。この点を明確に説明してくれる事業者は、利用者保護の意識が高いと言えるでしょう。
あわせて、質問の前後で「見学・設備・規約チェック」まで一気に進めたい場合は、後悔を防ぐ診断とチェックリスト(契約前の確認ポイント)も参考になります。
まとめ:自信を持って、あなたの暮らしを快適に
お疲れ様でした。もう一度、大切なことなので繰り返します。トランクルームの禁止物は、「法律で決まっている絶対NG」と「会社ごとの約款で決まるグレーゾーン」の2種類しかありません。
- ガスボンベやスプレー缶は、法律レベルで絶対NG。
- 灯油を抜いたストーブは、グレーゾーンなので事業者への確認が必須。
この判断基準さえあれば、あなたはもう迷いません。自信を持って、あなたの家のスペース問題を解決し、快適な暮らしを手に入れてください。
さあ、最初の一歩を踏み出しましょう。あなたの気になるトランクルームの公式サイトを開き、この記事で手に入れた「魔法の3つの質問」をぶつけてみてください。その行動が、あなたの家のスペース問題を解決し、家族との快適な暮らしに繋がります。
[参考文献リスト]
- 標準トランクルームサービス約款 – 国土交通省





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